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 独日文芸翻訳クラブ通信について

2009-04-05

2008年新語・変語(オーストリア)

| 10:05

 続いてオーストリア。出典はいずれもオーストリア・ドイツ語研究所です。

【新語】

1.Lebensmensch

かけがえのない人:もともとはオーストリアの作家トーマス・ベルンハルト(1931-1989)が使った言葉だそうですが、これが息を吹き返したのは、10月に事故死した有名な極右政治家イェルク・ハイダー氏絡みで発言されたから。オーストリア未来同盟党首の座を引き継いだシュテファン・ペツナー氏が、彼について「かけがえのない人」と涙ながらに語ったことから、2人は同性愛の関係にあったのではないかとメディアが騒ぎ立てたのでした。感情的な発言はオーストリア政界では珍しいので、妙に目立ってしまったらしいです。

2.Krocha

クロハ:hineinkrachen(入る)のウィーン方言einekrochnからの派生語で、「入る人」というほどの意味ですが、ある若者文化を共有する人々を指します。光り物の服を着て、野球帽のような帽子をかぶり、エレクトロニックダンスミュージックを聴き、ウィーンの俗語を話すのだそうです。

3.Wachteleierkoalition

ウズラの卵連合:7月に国民党が社民党との連立解消を一方的に通告して、9月に総選挙が行われることになりました。国民党は選挙戦で気前のいい公約を並べましたが、極右の自由党はそれを支持しただけでなく、さらなる減税にも言及しました。

 さて、その公約の1つに、食料品に係る消費税を10%から5%に引き下げるというものがあります。ただし、これはぜいたく品には適用されません。で、どんなものがぜいたく品かというと、キャビアなどに交じってウズラの卵が挙げられているのです。1個当たり15~20円程度。まじめに言ってんの?という皮肉を込めて、3位授賞です。

【変語】

1.Gewinnwarnung

業績見通しの下方修正:世界的な経済危機の今、あちこちで目にする言葉ですが、Gewinn(利益)+Warnung(警告)なので、「儲け過ぎに注意」とでも言っているように見えてしまうのが何とも妙なものです。

2.Heimatpartei

郷土党:「郷土」という言葉には、何とも言えない温かさがあります。ところが、これが政治の場面で使われると、途端に排他的で独善的なものになりますね。

3.Kulturdelikt

文化犯罪:マリア・フェクター内相は、外国人犯罪に関する議論の中で、文化犯罪という新たな概念を提唱しました。名誉の殺人や強制結婚など、その出身国では慣習的に行われていることでも、オーストリアでは非合法であるものを処罰するための新たな条文をつくろうというのです。しかし、そういった行為を罪として処罰する条文は既にあるのだから、屋上屋を重ねる必要はないということで、変語3位になりました。