Hatena::Grouplitrans

独日文芸翻訳クラブ通信 RSSフィード

2011-07-07

2010年新語・変語(リヒテンシュタイン)

| 22:52

◆リヒテンシュタイン◆

【新語】

1.Industriezubringer 商工業地域直通道路

 シャーンはリヒテンシュタイン最大の自治体(人口約5800人)。ここにある商工業地域への交通の便を改善するための道路計画が持ち上がり、政府は1500万スイス・フラン(2010年12月現在で約12.8億円)の信用保証を承認した。ところが、環境団体がこれに反対したため、3月14日、国民投票が行われた。その結果、信用保証は認められたが、賛成票は過半数ぎりぎりの51.9%だった。


2.Agenda 2020 アジェンダ2020

 リヒテンシュタインが将来にわたって安全で快適な国であるための中長期計画。政治、経済、市民生活などについて設定された6つの戦略的目標の達成に向け、政界、財界、社会を挙げて取り組む。


3.Grosskreisel 大ロータリー

 シャーンのリンデン交差点は、長らく激しい交通渋滞の発生地帯だった。これを解消するべく、政府は2003年に再開発を計画。2010年11月20日に地下駐車場や売店を備えたバスターミナルの、その2日後に大ロータリーの供用を開始した。


【変語】

Lebendversuch 生体実験

 欧州オリンピック委員会の支援を受けて、人口100万人未満の小国がスポーツの技を競い合う小国大会(Kleinstaatenspiel)。1985年から2年ごとに開催されてきたこの大会は、参加国が持ち回りでホスト国となって運営する。2011年にはリヒテンシュタインが2度目のホスト役を務めることになっており、2010年9月16日と17日、準備状況を確認するためのミニ大会が開催された。その初日、あいさつに立ったフーゴー・クヴァデラー教育大臣は、競技に参加する子供たち約1500人を前に、君たちは小国大会開催のための実験動物だと言ってしまい、大ブーイングを浴びた。

2011-07-06

2010年新語・変語(スイス)

| 23:15

◆スイス◆

【新語】

Ausschaffung 強制送還

 右派のスイス国民党が発議した外国人犯罪者強制送還厳罰化は、反対派が出した対案とともに11月28日に国民投票に付され、52.9%の賛成多数で可決された。生活保護や社会保険を不正受給した場合などにも適用されるため、強制送還の対象になるのは重罪を犯した者に限るなどとしている他の欧州各国とは相入れない。また、欧州人権憲章などに抵触するおそれもある。


【変語】

FIFA-Ethikkommission FIFA倫理委員会

 サッカーW杯招致に絡み、次々と出てくる収賄疑惑。FIFAは、自分の問題は自分の委員会で解決するということで、倫理委員会を設置した。しかし、「倫理」なんてどの口が言うか!というのが世間の反応である。

2011-07-05

2010年新語・変語(オーストリア)

| 22:33

◆オーストリア◆

【新語】

1.fremdschämen 見ている方が恥ずかしい

 教育や医療、あるいは政治など、さまざまな分野で質の低下が見られるきょうこのごろ。それぞれの分野で責任を果たすべき人々がそれを放棄し、恬として恥じない。見ているこっちの方が恥ずかしくなる――ドイツ語にも他人のみっともない行為を恥じるという感情を表現する言葉はあるが、長いというか、回りくどいと感じる人も少なくなかったのか、一言であらわすこの造語が支持された。


2.verhaltenskreativ マイペースな

 つまりは「やることが変」とか「だらしない」とか「うんざりする」とかいうことだが、kreativ(独創的な)がくっついているので、表面的には妙にポジティブ。


【変語】

1.humane Abschiebung 人道的強制送還

 10月、不法移民の父と双子の娘たちがコソボに強制送還された。まだ8歳の娘たちが手荷物にぬいぐるみを詰めることすら許されずに武装警官に連行され、自殺のおそれありとして入院させられた母親と引き離されたことで世論は沸騰。3日後に行われたウィーン州議会及び市議会選挙で与党OEVPが過半数を割り込んだことを受け、マリア・フェクター内相は、不法移民の摘発には非武装職員が当たること、送還されるまでは警察の施設ではなく保護施設に滞在させることなどを盛り込んだ改善策を発表した。とはいえ、基本的に強制送還されることには変わりないため、「人道的」と揶揄されている。


2.Türkenmilch/Türkmilch トルコ牛乳

オーストリア北東部の乳製品製造販売会社Noemが新たな顧客層としてトルコ移民に焦点を合わせ、4面のうち2面にドイツ語、あとの2面にトルコ語を記した紙パック入り牛乳のトルコ系スーパーマーケットでの販売を始めた。ところが、これが右派を刺激し、オーストリアを2つの社会に分断するものだという激しい批判を招き、Noem製品のボイコットまで起きる騒ぎになった。


3.E-CARD-Urlaub

E-CARDは、健康保険証の役割を果たすICカード。E-CARD-Urlaubは、仮病を使って休んでいるのではないかという従業員への不信感をあらわす言葉で、主に経営者側が使うとのこと。

2011-07-03

2010年新語・変語(ドイツ)

| 09:23

 大変遅くなってしまいましたが、ドイツ語圏の2010年新語・変語をお届けします。

◆ドイツ◆

【新語】

1.Wutbürger 憤怒の市民たち

 政府や政治家が自分たちの頭越しに何でもかんでも決めてしまうと感じ、不満を爆発させる市民の姿が目立ってきた。本来、市民(Buerger)とは穏やかで理性的なものだが、それが感情的な憤怒にとらわれているという、ちょっと皮肉な組み合わせ。


2.Stuttgart 21 シュトゥットガルト21

 上記Wutbuergerの代表例が、このシュトゥットガルト21に反対する人々である。これは、シュトゥットガルト中央駅を中心とした都市再開発事業のこと。近郊の鉄道網を抜本的に改革するため、行きどまりになっている現在の中央駅を廃止して、通り抜けできる構造のものを地下に新設し、あわせて地上部分を商業施設や住宅などに活用する計画で、1980年代半ばから準備が進められていた。そして、2010年2月に着工の運びとなったが、その前年から行われてきた反対派のデモが規模を拡大するとともに先鋭化し、10月には警官隊と衝突して重軽傷者約400名を出した。


3.Sarazin-Gen ザラツィン遺伝子

 ドイツ連邦銀行のティロ・ザラツィン理事が、移民問題を論じた著書"Deutschland schafft sich ab"に関するベルリーナー・モルゲンポスト紙のインタビューで「ユダヤ人に特定の遺伝子がある」と発言。人類学を悪用したナチスを思わせるような言葉が国内外に波紋を広げ、理事解任を求める声が上がった。言論の自由や連邦銀行の独立などが絡み、事は簡単ではなかったが、任免権を持つクリスティアン・ヴルフ連邦大統領の署名をもって、9月いっぱいでの解任が決まった。

【変語】

1.Alternativlos やむを得ない

 増税もやむを得ない、年金受給開始年齢引き上げもやむを得ない……。議論を封じ込める最強の言葉が政界で連発されている。


2.Integrationsverweigerer 融合拒否者

 ドイツにやってきた移民は、ドイツ語やドイツにおける生活情報、法律、歴史などを学ぶ社会融合講座に参加しなければならないが、この義務を果たさない者が少なくない。デメジエール内相は、このような融合拒否者に対する措置を強化して、講座に参加するよう警告しても従わない場合は制裁を加えるべきであると表明した。


3.Geschwätz des Augenblicks すぐに消えるくだらないおしゃべり

 ローマ教皇のイースター礼拝に先立ち、アンジェロ・ソダノ枢機卿がピエトロ大聖堂前に集まった信者を前に「教皇猊下、神の民はあなたとともにあり、最近のくだらないおしゃべりに惑わされることはありません」と述べた。聖職者による未成年者への性犯罪が激しく非難されているときに、それを「くだらないおしゃべり」と言い放ったことに対しては、教会内部からも厳しい声が上がっている。

2010-03-07

2009年新語・変語(ドイツ)

| 11:36

◆ドイツ◆

【新語】

1.Umweltprämie スクラップ奨励金

 景気刺激と環境保護の一石二鳥を狙い、ドイツ政府は、燃費効率の悪い中古車を処分して環境負荷の少ない新車を購入する人に対して2500ユーロの補助金を支給する制度を創設。これが当たって景気刺激には一定の成果が上がったが、需要の先食いにすぎないとして、制度終了後の反動が懸念されている。また、廃棄されるはずの中古車が実は東欧やアフリカに密輸されているという疑惑が浮上し、業者による制度の悪用である、環境汚染源の輸出であると非難する声が上がっている。

2.kriegsähnliche Zustände 戦争類似状態

 いまだ情勢不穏なアフガニスタンにはドイツも国防軍を派遣しているが、9月、ドイツ人将校が下した判断に基づいて行われた空爆で多数の犠牲者が出るという事件が起こった。これは、犠牲者に多数の民間人が含まれていたことをドイツ軍及び関係閣僚が隠蔽していたことが明らかになって、政界を揺るがす大問題に発展した。軍の撤退を求める国内世論も勢いを増す一方。そんな中、政府としてはこの状態を「戦争」と認めるわけにはいかない。そこでグッテンベルク国防相が11月3日付ビルト紙のインタビューで使ったのは、「戦争類似状態」という実に政治的な用語だった。


3.Schweinegrippe 豚インフルエンザ

 まだまだ続きそうな話題です。


【変語】

1.Betriebsratsverseucht 組合汚染

バウハウスは、ドイツ国内だけでも128の支店と1万人以上の従業員を擁するホームセンター。5月14日、この大企業が労働者の権利を侵害しているという問題をテレビ番組「モニター」が取り上げ、従業員総会に出席した匿名さんの発言を紹介した。いわく、「従業員が組合がある支店から組合がない支店に移りたいと思っても、そんな人は歓迎されない。賃上げやら何やら金のかかることばかり主張する組合に汚染されているから」と。

 Betriebsratとは、事業所ごとに選出される従業員代表のこと。任期は4年で、選挙は全国一斉に行われる。「経営協議委員会」と訳されることが多いが、イメージとしては組合あるいは組合執行部に近いので、ここではそのように訳した。


2.Flüchtlingsbekämpfung 難民制圧

ベルテルスマン財団主催の「市民フォーラム」。メルケル首相が移民問題に触れ、「ヨーロッパ境界での難民制圧にはドイツも関与しているが、意義のあることだ」と述べると、すぐに参加者の間で「今、『難民制圧』って言った?」「自分の耳が信じられない」等々のささやきが交わされた。「制圧(Bekämpfung)」は伝染病やテロリズムに対して使う言葉であり、何より「難民制圧」は極右の業界用語だからである。

3.intelligente Wirksysteme 精密有効システム

別に何ということもない言葉に見えるが、実は武器製造会社の名称。この背後には、高度な技術が用いられた兵器が隠れている。