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独日文芸翻訳クラブ通信 RSSフィード

2006-04-22

"Der weisse Neger Wumbaba"

| 15:55

[書名] 白い黒人ブンババ(未訳・仮題)

[原題] Der weisse Neger Wumbaba

     Kleines Handbuch des Verhoerens

[著者名] アクセル・ハッケ(Axel Hacke)

[画家名] ミヒャエル・ゾーヴァ(Michael Sowa)

[ページ数] 64ページ

[発行年月日] 2004.09

[出版社] Kunstmann

[ISBN] 3-88897-367-8

[価格] 1232円(税込)

[分類] エッセイ

 



 歌の文句を間違って覚えていて、奇妙なイメージになってしまうことは、きっとだれにでもあるはずだ。日本人なら唱歌「故郷(ふるさと)」の歌詞「うさぎ追いし」などが思い当たるだろう。では、ドイツ人の場合は? この本には、そんな勘違い・聞き間違いから生まれた愉快なエピソードがつまっている。

 もともとは、ハッケが「南ドイツ新聞マガジン」で連載しているコラムの中で、そんなエピソードをひとつ披露したのがこの本誕生のきっかけだった。たちまち「そういう聞き間違い、あるある」と読者からどっと反響が寄せられた。その中から抱腹絶倒のエピソードが紹介され、ゾーヴァがおもしろい絵をつけている。


 子供たちの聞き間違いは笑いの宝庫だ。「大司教(Erzbischof)」が「イチゴのショルシュさん(Erdbeerschorsch)」になってしまった話には、イチゴの着ぐるみを着てニッコリ笑っているおじさんの挿絵がついている。また、ドイツ人にとっても外国語の歌はわかりにくいようで、日本人としては親近感を持ってしまうような例もある。マドンナの曲は食人族の歌に、リッキー・マーティンの曲はナチ賛歌になってしまう。ロシアの軍歌はレバーソーセージの歌になり、絵では軍隊が巨大なソーセージをかついで大行進だ。タイトルは、「白い霧がすばらしく(der weisse Nebel wunderbar)」を「白い黒人ブンババ(der weisse Neger Wumbaba)」と勘違いしていたエピソードからとっている。


 アクセル・ハッケ(1956~)は『ちいさなちいさな王様』『冷蔵庫との対話』等の著書で日本でも人気のエッセイスト、ジャーナリスト。この読書案内で紹介した "Deutschlandalbum" 『ドイツのアルバム』として今年3月に邦訳が出た。ミヒャエル・ゾーヴァ(1945~)はハッケとのコンビで数々の絵本を手がけたほか、映画や舞台の美術にも進出し、日本でもその知名度は上がってきている。この本の挿絵は、京都・東京で開かれた「ミヒャエル・ゾーヴァ展」に出展された。


 

(みじこ)

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2005-10-31

"Der kleine Erziehungsberater"

| 15:53

[書名] 育児の秘訣(仮題・未訳)

[原題] Der kleine Erziehungsberater

[著者名] アクセル・ハッケ(Axel Hacke)イラスト、マルクス・ヘレンベルガー(Marcus Herrenberger)

[ページ数] 114ページ

[発行年月日] 1992

[出版社] Verlag Antje Kunstmann

[ISBN] 3-88897-056-3

[価格] 1436円(税込)

[分類] エッセイ

 



 タイトルを見て、子育てのハウツーものと思ったら大間違い。「僕」とアンチェが、3人の元気な子供に振り回される日常のエピソードをまとめたものである。「睡眠って、なんだっけ?」とぼやくアンチェ。寝かしつけるためお話を読んであげると自分が眠ってしまう「僕」。食事中にゲップをすることを覚えた子。なだめてもすかしてもやめさせられない。心を込めて作った料理より、ソースもかけないスパゲティがいいという子供たち。庭にいいものを作ったからと言うので見に行くと、パパのお墓だという子供たち。長女の小学校入学式での感動。などなど……。

 子を持つ親ならきっと体験しているエピソードの数々が楽しい。「そうそう、うちの子も!」とうなずきながら読むことだろう。ときどき、どう扱ったらいいのか困ってしまうことがあるけれど、どこでも同じなんだなあと安心する。子育てにストレスを感じたら、肩の力を抜くためにいいかもしれない。コラムニスト、ハッケの文章は人を惹き付け、子の親でなくても楽しく読める。かわいい水彩画のイラストはお話の雰囲気にぴったりだ。


 著者アクセル・ハッケ(1956~)は大学で政治学を学んだ後、ジャーナリストの学校を出た。1981年から2000年まで南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)に勤務。現在は作家、コラムニストとして活躍している。マルクス・ヘレンベルガー(1955~)はミュンスター大学イラスト学部教授。

 アクセル・ハッケの作品はこの読書案内で『冷蔵庫との対話』"Deutschlandalbum"を取り上げた。まだ読んでいない方はご覧いただきたい。

 

(えりか)


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2005-09-13

"Deutschlandalbum"

| 16:01

[書名] ドイツ・アルバム ――素顔のドイツ人――(未訳・仮題)

[原題] Deutschlandalbum

[著者名] アクセル・ハッケ(Axel Hacke)

[ページ数] 253ページ

[発行年月日] 2004

[出版社] Antje Kunstmann Verlag

[ISBN] 3-88897-347-3

[価格] 1307円(税込)

[分類] エッセイ

 



 著者アクセル・ハッケはドイツの人気作家。彼が旅行中に出会い、実際に言葉を交わした人々について書き綴っている。ハッケは彼らが話したことを、批判を交えず、ていねいに伝えている。ドイツ人というと、音楽家やスポーツ選手といった著名人を思い浮かべるかもしれないが、ドイツ社会はこういう庶民から成り立っている。それぞれ、まじめに、楽しく、または悩みながらも一生懸命に生きている。32の章からなり、写真が添えられている。

 登場人物は、たとえば以下のような人たちだ。

 ベルリンの失業者が多い地区でソーシャル・ワーカーになった元失業者の2人。荒廃しがちな地区で、喧嘩の仲裁、ゴミの始末など、親身になって住民の面倒をみている。

 旧国境では、東で農夫だったという人に会った。国境沿いゆえ、無断立ち入り禁止地区内の村に住んだ苦労を聞く。昔威張っていた役人にイヤミを言うのが楽しみとくったくない人。

 結婚して50年以上になる夫婦。愛情の強さだろうか。3世代が近くに住み、家族の絆も強い。戦後の貧しさを質実剛健で生き抜いた彼らの慎ましい満足。

 にわとり愛好会会長。たかがにわとりと軽んじてはいけない。会長ほか、副会長、書記、会計係、飼育主任などの役職があり、品評会を開催したり、本格的なのだ。

 ベルリンの乞食。西のクーダム大通りでより、東のアレキサンダー広場での方が実入りがいいのだそうな。お金がたまったら、またお店を開くのだという。

 ユダヤ人協会の世話役。ユダヤ人が亡くなると、ただちに駆けつけ、ユダヤ教に則った葬儀の手配をする。ナチスドイツから脱出したが、故郷のドイツにまた住んでいる。

 道路清掃人。車、PC、ケータイを持たず、文学書を読み、写真を撮る。写真展は好評で一躍有名になったが、勝手なレッテルを貼られるのは好まず、引越し、清掃地区も変えてしまった人。


  著者アクセル・ハッケは1956年生まれ。1981年から2000年まで、南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)の編集部に勤めた。その後、作家、コラムニストとして活躍。ヨーゼフ・ロート賞、テオドール・ヴォルフ賞、エゴン・エルヴィン・キッシュ賞を受賞。ミュンヘン在。  

(えりか)
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2004-09-17

『冷蔵庫との対話』

| 16:29

[書名] 冷蔵庫との対話

[原題] Das Beste aus meinem Leben ― Mein Alltag als Mann

[著者名] アクセル・ハッケ(Axel Hacke)

[訳者名] 諏訪 功

[発行年月日] 2004.05.15

[出版社] 三修社

[ISBN] 4-384-04038-5

[価格] 2000円(税別)

[分類] エッセイ

 


『ちいさなちいさな王様』で一躍日本人読者の心をつかんだアクセル・ハッケが、「南ドイツ新聞マガジン」に連載中の爆笑エッセイをまとめたもの。

邦訳は原書から、日本人読者にも「こんなこと、あるある」と思えるようなエピソードを選りすぐった抄訳なので、どのページをめくっても思わず吹き出してしまう。文章も「笑いの間合い」がとれていて、マンガを読むようなおもしろさだ。

 著者と等身大の「私」は妻パオラ、幼い息子ルイスと3人暮らし。心配性で気苦労ばかりしている世渡り下手な「私」の気持ちを、おおらかなパオラもおっとり坊やのルイスもわかってくれそうもない。休暇中にケータイの留守電を聞く操作がうまくいかずオロオロする「私」、「別に大事なことじゃないでしょう」とゆうゆうと構え、帰宅してから手際よく留守電の操作をやってのける妻パオラ。動物園であれも見せようこれも見せようと張りきる「私」にはおかまいなしに、アイスクリームに夢中の息子ルイス。仕事ではインターネットだのアドレスだのクライアント・グループIDだの、宇宙人の交信のように意味不明な言葉と格闘、買い物に行けば自分の並んだレジの列だけ進まずイライラ、何気なく医学事典を読んでしまうと、とたんにどの病気も全部自分に当てはまるような気がして、生きた心地がしない。


 こんな気苦労ばかりの「私」にとって、夜中に愚痴を聞いてくれる良き友人は、旧型の冷蔵庫「ボッシュ」。ずっと台所にいるせいで世事に疎く、自分の型が古いのを気にしていつも廃棄や再資源化におびえているが、「クール」でなおかつ「開けっぴろげ」で、いつでも冷たいビールを出してくれる。この冷蔵庫になら、ストレスの多い世の中年男性も安心して胸襟を開くことができるのではないだろうか。


 著者アクセル・ハッケ(1956~)は「南ドイツ新聞」に政治記者として勤めるかたわら、独自の執筆活動を開始。ジャーナリスト、エッセイスト両面での活動が評価され、これまでにヨーゼフ・ロート賞、テオドール・ヴォルフ賞を受賞。エゴン・エルヴィン・キッシュ賞は2度受賞している。

 

(みじこ)

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