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独日文芸翻訳クラブ通信 RSSフィード

2005-05-26

"Zuerich by Mike"

| 16:02

[書名] マイクが見たチューリヒ 第9巻(仮題・未訳)

[原題] Zuerich by Mike. Band 9

[著者・画家名] マイク・ファン・アウデンホーヴェ(Mike Van Audenhove)

[ページ数] 40ページ

[発行年月日] 2005.03

[出版社] Edition Moderne

[ISBN] 3-907055-89-6

[価格] 2,553円(税込)

[分類] コミック

  



 スイス・ドイツ語圏の一般紙『ターゲスアンツァイガー』の付録であるカルチャー情報誌“Zueritipp”に毎週連載されている漫画をまとめたもの。せりふは当地で話されているスイス・ドイツ語で書かれ、現在までに9巻が出版されている。

 登場人物は、通勤途中のサラリーマン、掃除のおばさん、学生、幼稚園児、工事現場の労働者、店員、主婦などごく普通の人で、彼らの日常を通して、ユーモアあふれるエピソードが描かれている。自分たちの愛犬を座らせた乳母車を押して散歩する老夫婦、Sバーン(郊外電車)の中で人目も気にせず携帯電話でしゃべりまくっているビジネスマン、金持ちなのにたった5スイス・フランを使うときでも硬貨を何度も眺めてちゅうちょする年寄り、街を闊歩する奇抜なファッションの若者や様々な人種の外国人など、地元の人間なら身に覚えがある風景や話のひとこまに思わずニヤリとしてしまう。またチューリヒを知らない人でも、街を走る路面電車、観光客でにぎわうレストランやカフェ、歴史あるザンクトペーター教会、中央駅前にある銀行やショップが立ち並ぶ大通りなどを背景としたイラストから、この街の雰囲気をリアルに感じることができるだろう。


 絵はペンと水彩絵の具を使ったスケッチ画だが、よく見るとひとつひとつの場面が細密に描きこまれている。ペンの線は躍動感があり、人物の表情は生き生きとしていてコミカルだ。1冊は50ページ以内に収められていて、オールカラー、A4サイズよりひと回り大きいハードカバーの大型本として出版されているところなど、日本のコミックとは装丁が違っている。大人向けの絵本としても楽しめるグラフィックな魅力のある作品。


 マイク・ファン・アウデンホーヴェは1957年アメリカ生まれ。両親はベルギー人で、1966年に一家でスイスに移住してきた。1975年に単身でアメリカに渡ったマイクはニューヨークで芸術と経済を勉強した後、イラストレーターとして働き始める。1980年にスイスに再び戻り、1984年から漫画を描くようになるが、そのかたわら、郵便局での配達物の仕分け、パン屋の手伝い、屋根ふき、家具職人としてなど、さまざまな仕事を経験する。1988年にチューリヒの日刊紙“Zuercher Tagblatt”に漫画を発表した後、1996年から“Zueritipp”に本作品を連載している。


 

(くまこ)

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